【ブログ】オイル缶エコーって知っていますか?テープよりも、ディスクよりも古い、最初期のディレイを再現するCatalinbread Adineko!

残響を作るエフェクトといえば、リバーブとディレイ。リバーブとディレイは、似た構造のエフェクトですが、歴史的な成り立ちは大きく異なっています。

とりあえず部屋とマイクがあれば、リバーブを録ることは可能です。部屋、空間、それ自体がリバーブを作る。ルームリバーブという言葉は、もともとそういったリバーブルームという施設を使って反響を録っていたことからきています。

ディレイは違います。現在のデジタルリバーブはデジタルディレイに近い構造ですが、もともとは全く違っていました。やまびこ効果と呼ばれるディレイですが、ディレイをエフェクトとして使うには、一度録音した音を再生し、それを元の演奏に合わせて録音しなければなりません。

多重録音が当たり前になった時代にようやく安定し、テープエコーという技術が出てきましたが、それ以前にディレイエフェクトを作るエフェクターはとても希少なものでした。

Binson Echorecというエコーユニットがあります。磁気ディスクを使用し、一時的に音を録音できる構造のもので、テープエコー以前のエコーとして有名です。Catalinbreadでもそのサウンドを再現したペダルを発売しています。

もっと古い時代になると、オイル缶エコーというエコーがありました。

オイル缶の中にゆっくりと回るメタルディスクがあるとイメージしてみてください。このディスクは、1つ、または2つのプレイバックヘッドが音をピックアップするまでの間、レコードブラシヘッドからの静電負荷を維持します。もし缶が空だったら、ここに静電気が発生してしまうため、缶の中を謎のオイルで満たします。そのオイルはほとんどがUnion Carbide LB-65で、長年、このオイルには発がん性があったとの噂もあります。ともかく、このオイルの役割は空気からの静電気を防止するためのものでした。このオイルの問題は、例えば熱により粘性が低下すると、電荷を維持できません。オイルの粘性が下がり、オイルの揺れが大きくなるほど、音色に揺らぎが生じます。そんなゆらぎまでも再現できるのが、Catalinbread Adinekoです。

Catalinbreadが伝説的なディスクエコーを再現し、世界的に注目を集めた“Echorec”の開発を始めた頃、同時にオイル缶エコーの再現にもとりかかりました。
後にAdinekoと呼ばれることになるこのペダルの開発が始まったのは2012年の夏のことです。

本物の音を知るために、いくつものヴィンテージユニットを使用し、来る日も来る日も研究を重ねました。ユニットごとの音色の違いはもちろん、日によって、時には1時間ごとに音が変わるような個体も存在していました。
理想の条件に於ける最高のオイル缶エコーのトーン。クールでブライト、同時にダークなエコーサウンド。オイルの揺れがもたらすヴィブラートモジュレーションと、オイル缶エコーの持つ独特の、霧の中に浮遊するような音色。
それを、現代のコンパクトペダルとして当然のエコータイムとリピートを十分に確保した上で再現すること。Adinekoは、この全てを実現したディレイペダルです。

Adinekoのケースには、ヴィンテージオイル缶エコーの中にあるオイル缶を思わせるエイジド塗装を施しています。薄く錆が浮いたように見える塗装を施すことで、ヴィンテージエコーマシンの雰囲気までも再現しています。

※エイジド塗装は1台1台手作業で行っているため、全て違った表情を見せます。

ヴィンテージサウンドを再現する新たなペダルを作る時、Catalinbreadでは必ず“古い経験”を尊重、それをさらに広げるように務めています。もちろん、Adinekoも同様です。
例えば、経年変化や熱により粘度の変わったオイルが作る独特のダークな音色も、VISCOSITY(粘度)ノブでコントロールすることができます。
暖かなエコークオリティを保ったまま、かつてのオイル缶エコーの領域を遥かに越えるディレイタイムをTIMINGノブでコントロール可能。そして、BALANCEノブではオリジナルエコーユニットのデュアルプレイバックヘッドが作った独特なシンコペーションを再現できます。

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